平成壬辰 睦月十四日
青南いきいきプラザ
夫の死の胸処守りし懐剣の文の千鳥に霜な降りそね 光
ぬばたまの僧衣まぶしも秋の陽にかげりもあらず青き剃髪 里子
漁師あまたかなしみ越え来しふときこゑ大船渡にも初荷の手締め 遊
歌口にあてて吹く息「逆髪」と名のりし女の横笛(おうてき)つよし 陽子
はるか遠く白き富士の浮かびをる行人坂を風の吹きぐ 馬
メタセコイア散り尽くしたる高枝の円錐形が冬空を指す 芳恵
福寿草我ときめきて学ぶ座に伝えし君に届けたく 良子
氷原に月輝きて吹雪さる龍現れて魂を掴みて 一道
新しき年の初めにさらさらの羽衣まといて乳含ませぬ 柾女
赤い火をみつめてみかん食べる夜しいんと響くマンモスの孤独 けいいん