霜月
鉈のやうに乙女が放つ語尾の「じやん」さう君は正しいもみぢ散れども
芝草の先なる秋の露光る鈴の音ちりちり子猫の時間
いにしへの秦琴鳴らす爪の音月にかそけき雲やかかれる
白茶なる羽織の紐もゆるゆると酔(ゑ)ひにほぐるる寝待ち月の夜
百年の堂は仮堂月見寺露を酒(ささ)とやすすきがまねく
こがれゐて黒髪洗ひきとおろりと椿油ににをふくれなゐ
ぬばたまの長き黒髪梳る海にもぐれば藻とやなるらむ
カーテンに影をこぼして柿ひと葉ゆうらりゆらりさすらふ小舟(おぶね)
悲しみも喜びもなき塩の湖(うみ)砒素はおいしいご飯です
砒素といふ猛毒食す生命体飲みます涙 理不尽なこと
鳥飛べり君がまつげのくるりんと一寸法師のすべり台かも